<改正相続法について>
平成30年7月6日に、相続法改正法が成立し、7月13日に公布されました。
(詳細は法務省のHPを参照ください。http://www.moj.go.jp/MINJI/minji07_00222.html)
★改正について、有賀からポイント解説!★
☆1☆この相続法改正は、昭和55年以来ですが、
改正の中心は「配偶者の権利」を優遇した内容といえると思います。
政府は「法律婚の尊重」を明確にしていると考えられ、
特に「婚姻期間が20年以上の夫婦間への優遇」は目を引きます。
間違いなくこれから「遺された高齢の配偶者」は増加してゆくわけで、
「配偶者の生活保障・保護を目的」とした、
現実的な改正といえるのではないかと思いますね。
☆2☆配偶者関係以外で私が注目したのは、次の3点です。
①遺留分が金銭に置き換えられるようになったこと(原則として)。
これは大きな転換だと思います。
改正後は、遺留分減殺請求を原因とした、
不動産の共有状態を回避することが出来るようになります。
ありていに言えば、
不動産での分割ではなく、金銭で解決が可能になったといえます。
(不動産評価についての考察は、ここでは割愛します)
なお、手持ち資金が足りない場合、
支払い期日を裁判所で決めてもらうことができます。
※「遺留分」とは、法定相続人が法律で定められた、
最低限遺産を確保できる割合のことです。
この割合がもらえない場合、「遺留分減殺請求」を他の相続人に対して行うことが出来ます。
②不公平・不平等になりがちだった分野が見直され、
「遺産の持ち逃げ」に一定の歯止めがかけられました。
③分割協議前であっても、
生活費などを銀行からおろすことが出来る制度が創設されました。
・遺言書関係の改正は、財産目録がPCなどでの作成も可能になるも、
結局、本文は手書きをしなくてはならないのは変わらず・・・。
偽造防止などもあると思いますが、微妙に中途半端な感が否めません。
・なお、実務上の問題としては、
配偶者の権利の選択肢が広がった分、
「取捨選択が難しくなった」とも言えそうです。
・今回の改正で、配偶者優遇が鮮明にされた一方で、
いわゆる「事実婚」や「同性パートナー」に対しての改正はなされていません。
また、「相続人以外であっても療養看護に貢献した者」は
「親族に限り」「金銭請求が可能に」なりましたが、
あくまでも「親族」に限られています。
これらに該当される場合は、今回の相続法の改正では対応できませんので、
改正前と同じく、「遺言書の作成」「生前贈与」などで、財産分与を考える必要があります。
<主な改正点の「ざっくり解説」>
※詳細は法務省のHPなどで確認してください。
①配偶者の居住権を保護するための方策
(配偶者が住む家を失わないようにするための制度)
1.配偶者は相続人間での遺産分割が終了するまでの間、その居住建物を使用できる。
(被相続人の持ち家に無償で住んでいた場合)
2.配偶者の居住建物は、終身又は一定期間その使用を認める権利を創設し、選択できるようにする。
(配偶者が居住不動産を取得すると、他の財産(現金など)を受け取れなくなってしまう場合など)
②遺産分割に関する見直し
(配偶者の保護が主目的)
1.婚姻期間20年以上の夫婦間で、居住用不動産(自宅)を遺贈又は生前に贈与した場合は、
配偶者は自宅を取得したからといって、その他の財産(現金など)を相続できる取り分を減らさなくてもよい。
※配偶者はより多くの財産を取得できるようになった。
2.被相続人の預貯金について、「仮払い制度」が創設された。
被相続人の口座から、生活費や葬儀費用の支払いなどの「必要資金」がおろせるようになる。
(1)上限額はあるものの、一定額については、相続人単独での払い戻し(貯金を下ろすこと)ができるようになる。
払い戻しが可能な金額 = 銀行ごとの口座の残高×1/3×法定相続分となる。
この場合、家庭裁判所の許可は不要。
※当面の生活費に充当できるなど、極めて現実的な制度になった。
(2)その他、家庭裁判所の判断を要する場合であっても、要件が緩和される。
3.遺産の分割前に、財産の使い込みをした相続人がいた場合、「もらい得・逃げ得」にならないようになった。
③遺言制度に関する見直し
1.自筆証書遺言について、一部が緩和され、財産目録は手書きでなくてもOKに。
2.遺言執行者の権限を明確化し、スムーズな手続きが行えるようになった。
3.法務局における、自筆証書遺言の保管制度の創設
④遺留分制度の見直し
遺留分は原則として、金銭に置き換えることになった。
また、すぐに金銭を準備できない場合でも、裁判所に期限を決めてもらうことが出来る。
※相続によって生じていた不動産の権利関係がシンプルになり、お金で解決が可能に。
⑤相続人以外の者の貢献を考慮(但し「親族」に限る)
「相続人以外の親族」が、被相続人の療養看護などを行った場合、
相続人に対して金銭の支払いを請求できる。
(例)夫が死亡した後に、妻が「夫の母」をずっと介護した後、「夫の母」が死亡した場合。
妻は「夫の母」の遺産相続はできないが、「夫の母の相続人」に対して、
金銭の請求が可能になった。
※「親族以外」の「他人」には適用がない点に注意。
(例)上の例でいうと、妻が夫と離婚した後、元夫の母の介護をした場合 → 適用なし。
平成30年7月6日に、相続法改正法が成立し、7月13日に公布されました。
(詳細は法務省のHPを参照ください。http://www.moj.go.jp/MINJI/minji07_00222.html)
★改正について、有賀からポイント解説!★
☆1☆この相続法改正は、昭和55年以来ですが、
改正の中心は「配偶者の権利」を優遇した内容といえると思います。
政府は「法律婚の尊重」を明確にしていると考えられ、
特に「婚姻期間が20年以上の夫婦間への優遇」は目を引きます。
間違いなくこれから「遺された高齢の配偶者」は増加してゆくわけで、
「配偶者の生活保障・保護を目的」とした、
現実的な改正といえるのではないかと思いますね。
☆2☆配偶者関係以外で私が注目したのは、次の3点です。
①遺留分が金銭に置き換えられるようになったこと(原則として)。
これは大きな転換だと思います。
改正後は、遺留分減殺請求を原因とした、
不動産の共有状態を回避することが出来るようになります。
ありていに言えば、
不動産での分割ではなく、金銭で解決が可能になったといえます。
(不動産評価についての考察は、ここでは割愛します)
なお、手持ち資金が足りない場合、
支払い期日を裁判所で決めてもらうことができます。
※「遺留分」とは、法定相続人が法律で定められた、
最低限遺産を確保できる割合のことです。
この割合がもらえない場合、「遺留分減殺請求」を他の相続人に対して行うことが出来ます。
②不公平・不平等になりがちだった分野が見直され、
「遺産の持ち逃げ」に一定の歯止めがかけられました。
③分割協議前であっても、
生活費などを銀行からおろすことが出来る制度が創設されました。
・遺言書関係の改正は、財産目録がPCなどでの作成も可能になるも、
結局、本文は手書きをしなくてはならないのは変わらず・・・。
偽造防止などもあると思いますが、微妙に中途半端な感が否めません。
・なお、実務上の問題としては、
配偶者の権利の選択肢が広がった分、
「取捨選択が難しくなった」とも言えそうです。
・今回の改正で、配偶者優遇が鮮明にされた一方で、
いわゆる「事実婚」や「同性パートナー」に対しての改正はなされていません。
また、「相続人以外であっても療養看護に貢献した者」は
「親族に限り」「金銭請求が可能に」なりましたが、
あくまでも「親族」に限られています。
これらに該当される場合は、今回の相続法の改正では対応できませんので、
改正前と同じく、「遺言書の作成」「生前贈与」などで、財産分与を考える必要があります。
<主な改正点の「ざっくり解説」>
※詳細は法務省のHPなどで確認してください。
①配偶者の居住権を保護するための方策
(配偶者が住む家を失わないようにするための制度)
1.配偶者は相続人間での遺産分割が終了するまでの間、その居住建物を使用できる。
(被相続人の持ち家に無償で住んでいた場合)
2.配偶者の居住建物は、終身又は一定期間その使用を認める権利を創設し、選択できるようにする。
(配偶者が居住不動産を取得すると、他の財産(現金など)を受け取れなくなってしまう場合など)
②遺産分割に関する見直し
(配偶者の保護が主目的)
1.婚姻期間20年以上の夫婦間で、居住用不動産(自宅)を遺贈又は生前に贈与した場合は、
配偶者は自宅を取得したからといって、その他の財産(現金など)を相続できる取り分を減らさなくてもよい。
※配偶者はより多くの財産を取得できるようになった。
2.被相続人の預貯金について、「仮払い制度」が創設された。
被相続人の口座から、生活費や葬儀費用の支払いなどの「必要資金」がおろせるようになる。
(1)上限額はあるものの、一定額については、相続人単独での払い戻し(貯金を下ろすこと)ができるようになる。
払い戻しが可能な金額 = 銀行ごとの口座の残高×1/3×法定相続分となる。
この場合、家庭裁判所の許可は不要。
※当面の生活費に充当できるなど、極めて現実的な制度になった。
(2)その他、家庭裁判所の判断を要する場合であっても、要件が緩和される。
3.遺産の分割前に、財産の使い込みをした相続人がいた場合、「もらい得・逃げ得」にならないようになった。
③遺言制度に関する見直し
1.自筆証書遺言について、一部が緩和され、財産目録は手書きでなくてもOKに。
2.遺言執行者の権限を明確化し、スムーズな手続きが行えるようになった。
3.法務局における、自筆証書遺言の保管制度の創設
④遺留分制度の見直し
遺留分は原則として、金銭に置き換えることになった。
また、すぐに金銭を準備できない場合でも、裁判所に期限を決めてもらうことが出来る。
※相続によって生じていた不動産の権利関係がシンプルになり、お金で解決が可能に。
⑤相続人以外の者の貢献を考慮(但し「親族」に限る)
「相続人以外の親族」が、被相続人の療養看護などを行った場合、
相続人に対して金銭の支払いを請求できる。
(例)夫が死亡した後に、妻が「夫の母」をずっと介護した後、「夫の母」が死亡した場合。
妻は「夫の母」の遺産相続はできないが、「夫の母の相続人」に対して、
金銭の請求が可能になった。
※「親族以外」の「他人」には適用がない点に注意。
(例)上の例でいうと、妻が夫と離婚した後、元夫の母の介護をした場合 → 適用なし。
自己紹介
<性格>
法律職と思えない明るい性格
頼られると嫌と言えないお人好し。
(不法・不正行為を除く)
何かを「ひらめく」と「早口」になります。
出会いと縁を大事にしています。
<気を付けていること>
先読みしすぎない。
<資格等>
特定行政書士(平成28年11月15日付記)
個人情報保護士
ファイナンシャルプランナー
不当要求防止責任者講習 修了
<所属等>
埼玉県行政書士会 民事法務部 副部長
川口支部 企画部 部長
公益社団法人 コスモス成年後見サポートセンター (第1管轄区)
川口商工会議所
NPO法人 市民生活安全保障研究会
埼玉県被災者相談員
<履歴>
1975年3月 東京都千代田区生まれ
埼玉県川口市(旧鳩ヶ谷市)出身
京北高校卒(現東洋大学京北)
流通経済大学 社会学部 国際観光学科卒
専修大学大学院 法学研究科 法学専攻 修士課程
法律学応用特論(家事事件手続法)科目等履修生
<職歴>
個人事業主・会社員・公務員・代表取締役社長をすべて経験しています。
新卒後一般企業に就職し、営業や購買を担当する。
26歳で一般企業を退職、法人を設立し代表取締役社長に。
東京都港区南青山3丁目にて、日本そば店(17坪・38席)を開業。
年間5万人以上が来店する繁盛店に。
ビルの建て替えのため、厳しい立ち退き交渉の後、惜しまれつつ閉店。
延べ来店者数は60万人を超える。
会社顧問の小菅龍之介先生(東京会)に憧れ、行政書士試験に挑戦し合格(216点)。
中小企業の実態に詳しい。
<参加・社会貢献>
国連WFPマンスリーサポーター
<特技>
法律論は最後に考える。まずは様々な角度から考え、解決策や関連性をさがすことです。
運だけは強い。
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